2011年4月26日放送分のフジテレビの朝の人気番組『めざましテレビ』にて、3週にわたり復旧に取り組む姿を追った特集コーナー『リカバリージャパン』の3週目に、水没したハードディスクからのデータ復旧に関する解説とそれに取り組むデータサルベージの活動が紹介されました。
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この度、弊社のデータサルベージ事業に関する報道が、テレビ番組「めざましテレビ ココ調」で取り上げられました。東日本大震災から時が経ちましたが、復旧への道のりは続いており、中でも多くの方が強く望まれるのが、失われた写真などの「思い出」の復旧です。本日は、この報道で伝えられた内容を中心に、震災で被災したデータ復旧の現状と重要性についてご紹介したいと思います。
震災当時、仙台市若林区にある弊社の会社には、泥だらけになったパソコンがずらりと並べられていました。被害の大きさを物語る光景でした。震災前は法人のお客様が多かったのですが、被災後は個人のお客様からパソコンが大量に持ち込まれるようになり、現在でも1日に40～50台の復旧依頼がある状況です。
お客様が最も取り戻したいと願うデータは、ほとんどがご家族やペットの写真です。そして、中には震災で亡くなられたご家族の写真を、何としても残したいという切実な願いをお持ちの方も少なくありません。こうした写真はまさに「お金に変えられない」大切な宝物です。
パソコンからのデータ復旧は、本体に内蔵されているハードディスクドライブからデータを取り出すことによって行われます2。泥に浸かってしまった場合でも、ディスクを洗浄処理することでデータが読み取れるようになることもあります。それを別のハードディスクへコピーすれば復旧は完了となります。
しかし、東日本大震災の被害の大きさを物語る事実として、被害にあったパソコンの約95%が津波による海水の影響を受けていたという、データ復旧を妨げる大きな壁がありました。海水がハードディスクの金属部分に付着すると、塩分と水分、酸素によって化学反応が起こり、鉄の腐食が急速に進んでしまうのです。これは最終的に致命的な損傷につながります。
海水浸水の影響を検証したところ、水道水に1時間浸けたハードディスクは100個の画像データ全てが完全に復旧し、復旧率は100%でした3。しかし、海水に1時間浸けたハードディスクでは、同じ100個の画像データのうち7個のファイルが壊れており、マークの形や色に乱れが見られたり、表示されないものもありました。やはり海水による影響は深刻です。
この海水による深刻な影響のため、震災から1週間後には8割ほどあった復旧率も、現在ではわずか1割程度にまで落ち込んでいるのが現実です。
それでも、私たちは大切な思い出を一つでも多く取り返すために、復旧への取り組みを続けています。地元研究機関と共同で洗浄効果の高い薬剤を開発したり、超音波洗浄などの独自の方法で復旧に挑んでいます。
そして、水没してしまったハードディスクの復旧率を上げるために、持ち込まれるまでの「保存方法」が極めて重要であることが分かっています…。最も大切なポイントは、「乾燥させない」ことです…。海水が付着した状態で乾燥すると、酸素に触れる機会が増え、より腐食を早めてしまうからです。具体的な方法としては、濡れたタオルなどでハードディスクを包み、ビニール袋（ポリ袋）に入れて、完全に乾燥しない状態を作っていただくことがポイントです…。実際に、海水に1時間浸けたハードディスクをこの方法で1時間保管してから復旧作業を行ったところ、色や形も変化なく全てのデータ（100個の画像）が100%復旧したケースもあります。乾燥させないことで腐食の進行を抑え、同時に汚れも落ちやすくなり、復旧率が上がるようです。水没してしまった場合は、絶対に電源を入れないよう十分にご注意ください。
また、報道では写真プリントの復旧についても触れられていました。泥や水に浸かってしまった写真も、20℃から30℃のぬるま湯で、指の腹で優しく汚れを取り除くように洗浄することで、綺麗になる可能性があります。洗浄が終わったら、影で乾燥させます。この方法で、泥や海水に一晩浸けた写真が、一部擦れた箇所はあったものの、全体的には洗浄前とほぼ変わらないほど綺麗になった検証結果が紹介されています。ただし、家庭用プリンターで印刷した写真の場合、インクが水に溶けやすい場合があるため、プロの写真屋さんに判断を仰ぐのが良いとのことです。
たった1枚の写真、たとえ擦れていたり、色が変わってしまったりしている写真でも、被災された方にとっては大きな心の支えになります。写真は、単なる記録ではなく、写っている方の「行きざま」そのものであり、人には分からない大切な価値を持っています…。私たちは、こうしたかけがえのない思い出を、何としても一つでも多く取り返して差し上げたいと考えております。
データ復旧には費用がかかりますが、どうしても復活させたい大切なデータがある場合は、ぜひ一度ご相談いただければ幸いです。
