都内の修理取次店様よりお預かりした外付けHDD(BUFFALO HD-EDS4U3-BC / 4TB)の復旧事例です。お客様側で一部データの誤削除があり、その後の操作影響でディレクトリ構造に破損が見られました。作業前に「抽出可能なファイル一覧の事前確認」をご希望いただき、媒体到着後ただちに診断を開始しています。
— ご依頼から診断まで —
- 取次店様から症状(誤削除)と型番情報の共有→媒体発送→到着次第診断を開始。軽度の論理障害(物理障害なし)前提の概算として、上限目安 68,000円(税別)をご提示。
- ご要望に応じ、復旧見込みファイルの「事前リスト」作成可否も合わせてご案内。
初期診断の結果
・複製ディスク(クローン)を作成のうえ論理解析を実施。ルート(トップ)ディレクトリの破損を確認し、フォーマット影響(クイック相当)によるメタデータ初期化痕跡と整合。通常のメタデータ参照のみでの階層復元は困難でした。
・一方で、一部サブディレクトリ直下の実体データには到達可能で、優先領域から抽出を進行。
採用した復旧アプローチ(技術ポイント)
- メタデータベース復旧
損傷の軽いサブツリーを優先スキャンし、整合の取れるディレクトリエントリから階層付きで復旧。 - ファイルカービング(File Carving)併用
ファイルシステムに依存せず、シグネチャや内部構造からデータ本体を抽出。
制約:名称・元フォルダ階層・一部タイムスタンプは失われる可能性。
効果:ディレクトリ破損時の救済策として有効で、本件でも並行実施。
仮納品と確認フロ
- 貸出用ディスクにて仮納品データを保存し発送(「復旧データ」=メタデータ経由、「FileCarving」=シグネチャ抽出の2系統)。
- まずは「復旧データ」をご確認。必要なものが見つからない場合は「FileCarving」内も必ず確認いただくようご案内。
- 同時に御見積書を送付。仮納品データ確認後に正式発注の流れをご提示。
- サブディレクトリ配下の複数ファイルを、階層・ファイル名を保持した状態で復旧。
- ルートディレクトリの論理破損により名称再現が困難な領域は、File Carving でデータ本体優先の抽出を行い、閲覧可能なデータを確保。
— 最終結果(サマリ) —
技術的示唆(同様トラブルの教訓)
- フォーマット影響が疑われても即断は禁物。ディレクトリ破損時は、メタデータ回収+カービング併用で救出余地が広がる。
- 事前リスト提示は意思決定に有効(業務影響が大きい場合ほど効果大)。
媒体・管理情報
- メーカー/型番:BUFFALO / HD-EDS4U3-BC(4TB)
- 症状:誤削除後のフォーマット影響に伴うルートディレクトリ破損(論理障害)
- 社内管理ID:220737(個人情報は伏せて掲載)
費用目安・所要期間(参考)
軽度の論理障害(物理障害なし)の場合、上限 68,000円(税別)を目安としてご案内しています。実際の費用・期間は、症状・容量・断片化・追加入力(フォーマット/初期化の有無)などで変動します。
— 免責 —
本記事は、個人を特定し得る情報(店舗名・担当者名・住所・連絡先・追跡番号等)を一部省略・加工したうえで掲載しています。記載の内容は、実務記録(メール往復等)に基づく要点のみを抜粋したものです。