2020年6月事象確認のリンゴループ障害について

2020年6月事象発生のリンゴループ障害について

公開日：2020/8/6
最終更新日：2020/8/6

※ SNS（Twitter,FaceBook etc..）などで当情報を公開頂ける際は、ハッシュタグ #STOPリンゴループ を付けて頂けると助かります。

リンゴループ化したiPhone

写真はスマートフォン研究所より

STOP! リンゴループ 活動の告知について

当サイトをご覧いただき、ありがとうございます。2020年8月現在、iPhoneをご利用のお客様より、データ復元に関するご相談が多数寄せられています。主に、データの空き領域が少ないiPhoneでiOSをアップデートした際に障害が発生するという事象ですが、該当障害についての復旧・修理方法はグローバルでも見つかっておらず、修理やデータ復旧に携わる技術者は対応に苦慮している状況です。
また、お客様からも「iPhone内の画像データを取り出したい」などの問い合わせを、多数いただいています。私たちは、データ保護の観点からこの問題を社会問題と捉え、メーカーであるApple社に対して障害に関する情報公開を求める「STOP!リンゴループ」という活動を立ち上げ、Apple社へユーザのご意見を届けてまいります。

 

活動宣言をする賛助者について

  • 阿部 勇人（データサルベージ 創業者 兼 技術者）
  • 細川 清誠（スマートフォン研究所 創業者 兼 技術者）
  • 小龍（香港小龍科技有限公司代表。Apple関連ブログ”小龍茶館”の中の人）
  • 匿名 iOSデバイスに関わるソフトウェアエンジニア
  • 匿名 iPhone,iPad修理のエンジニア

リンゴループ障害の現象について

iPhone中のデータ容量がパンク状態（iPhoneの空き領域が少ない）でアップデートを行う

  • データ容量の空き領域が少ないiPhoneで、iOSのアップデートを行うと、「iPhone “iPhone”をアップデートできませんでした。不明なエラーが発生しました。(14)」などのエラーメッセージが表示される。
  • 深夜に自動アップデートされた際、翌朝、リンゴループがディスプレイに表示されたままの状態となり、使用不可になる。

リカバリモードからiOSをアップデートしたり、iTunes上でアップデートを行ったりしても、Apple社のロゴから先に進まない。

iTunes for Windows 12.0.1.8.5

「iPhone “iPhone”をアップデートできませんでした。不明なエラーが発生しました。(14)」というエラーメッセージが表示される。

障害が発生してまうと

この障害が発生すると、iOSの起動や、iPhone内に格納していた写真や動画などのデータ抽出ができなくなる、という事象が生じています。

障害報告がされているモデル

iPhone 11,iPhone XR,iPhone XS,iPhone SE,iPhone 8,iPhone 8 Plus,iPhone 7,iPhone 7 Plus

具体的な障害事例

この障害とみられる事象で、お客様から多くのお問い合わせをいただいています。
その一部を紹介します。

リンゴループになった後、修理業者にデータ復旧を依頼したが「復旧できない」と断られた。他にも数社の業者に問い合わせたが、メモリチップか何かが劣化または破損しているなどの理由で、いずれも復旧できないと回答された。（使用機種：iPhoneXR）

容量いっぱいの状態で使用を続けていたら、リンゴループになってしまった。修理業者に基盤の修理までしてもらったが、データ復旧は不可能だといわれた。iPhone内には、先日亡くなった父親の写真や子供の成長記録もあるため、写真だけでも取り出したい。（使用機種：iPhone11）

ストレージ容量不足でiPhoneが起動しなくなった。再起動を試すと、リンゴループの状態になった。現在はリンゴループは解消したが、リカバリモードになる。（使用機種：iPhoneXR）

アップデート後、アプリが起動しなくなり、強制終了をしたらリンゴループになった。以前から、デバイスに容量がないという表示が出ていたので、それが原因かもしれない。PCでアップデートを試したが、エラーコード14が出てしまう。（使用機種：iPhone8）

障害解決に関する技術的な見解

    • 障害発生後にユーザデータが残っているかは不明だが、仮に残っていたとしても、外部から抜き出せないように暗号化またはアクセス不可領域で保護されていると考えられる。
    • イスラエルのデータ抽出サービス会社「Cellebrite」は、2019年に「（当時最新だった）iOS 12.3をはじめ、あらゆるiOSデバイス内のデータを抽出できる」と明言している。つまり、iOS 12までならデータ復旧は可能だったとみられる。
    • しかし、この後にリリースされた iOS 13（beta）からは、アップデート時にパスコードの入力を求められるようになり、このパスコードを使ったユーザデータの保護機構（外部からデータを抜かれないようにする機能）が追加されたとみられる。
    • アップデートモード時のUSB通信は、「iPhoneからのリクエストに対して、PC（ホスト）が応答（IPSW内の該当のファームウェアデータを返す）」というプロトコルのため、PC側からデータを取得するなどのリクエストは、基本的に不可能と考えられる。
    • iPhoneはApple社の署名が無いカーネルは起動できないため、サードパーティーがデータ復元用のカーネルを用意することも不可能。ただし、Apple社であれば復元用の特別なカーネルをビルド＆配布することは可能だと思われる（ユーザデータが残っていれば、抽出することも技術的には可能だと考えられる）。

当障害が起因していると思われるiOSのバージョンについて

iOS13.5.1 （2020年6月1日 公開）、iOS13.6（2020年7月15日 公開）

【復元】【高級モード】【アドバンスモード】は実行はしないでください！

先述の通り、2020年8月2日現在のところ該当障害についての復旧・修理方法は見つかっていません。
「復元」「高級モード」「アドバンスモード」などの作業を実行することで、リンゴループの症状を解決することは可能な場合がありますが、iPhone内のデータは消去されることが確認されています。
また、iOSの起動不具合などを解決するソフトウェアも市場に出回っていますが、これを使用しても修復できないことも確認されています（修復不可能と確認されたソフトウェアについて、下記に記載します）。
iPhoneは非常に高いセキュリティデバイスですので、これらの作業を行うことでデータ復元ができなくなる可能性が非常に高まります。
なお、ソフトウェアのなかにはライセンス契約が必要で有料のものもあります。課金決済をされる前に、ソフトウェアメーカーに今回の障害について確認することをおすすめします。

iTunes

アップデートまたは復元を必要としているiPhone “iPhone”で問題があります。「復元」ボタンを押してしまう。

iOS修復ソフトのエラー例

「高級モード」 もしくは 「アドバンスモード」の名前で消去作業を奨められます。

対応不可能なiOS修復不可能ソフト（アルファベット順）

iOSの起動不具合などを解決するソフトが数千円の価格でインターネット上で販売れされていますが、今回のiPhone本体のストレージ不足によるリンゴループでの障害では修復を行えた実績が確認されていません。ライセンス契約にあたり課金決済をされる前に、一度 各社ソフトウェアメーカーへの方へご確認の上ライセンス契約をする事をおすすめいたします。

    1. EaseUS Mobisaver Pro 7.6
      https://jp.easeus.com/iphone-data-recovery-software/pro.html
    2. FonePaw iPhoneデータ復元
      https://www.iskysoft.jp/itransfer-for-mac.html
    3. iMobie AnyFix for Windows
      https://www.imobie.jp/
    4. iSkysoft iTransfer for Mac
      https://www.iskysoft.jp/itransfer-for-mac.html
    5. Tenorshare ReiBoot
      https://www.tenorshare.jp/products/reiboot.html
    6. Wondershare dr.fone iOS Suite
      https://drfone.wondershare.jp/win-ios-suite.html

修理業者・復旧業者に依頼する際の注意点

復旧方法が見つかっていないため、該当機種を修理業者に持ち込まれても対応できないのが現状です。
こうしたなか、診断料や解析料の名目で高額請求をされたというトラブルも報告されています。実際、当社にも「データ復旧ができなかったのに10万円も請求された」というお問い合わせをいただいています。このような業者に依頼されないよう、ご注意ください。

iPhone修理、データ復旧会社の技術担当者の方へ

該当障害の復旧方法は、2020年8月2日現在、海外も含め見つかっていません。私たちは当活動に賛同いただいているソフトウェア技術者、ハードウェア技術者と情報交換をしながら、復旧方法を確立するべく研究を行っています。
私たちの活動に賛同いただける技術者のみなさまには、こちらのページへのリンクを張っていただき、該当障害についてユーザ様に告知していただけますと幸甚です。

海外の反応

Google Trends による検索キーワード推移

Google Trendsによる検索キーワード推移を見ると、iTunes上で表示される「エラー14」に関する検索比率が、世界的に増えています。（Google Trends ios error 14）

Gogole Trends 6月21日～27日の間で検索数が急上昇

Goggle Trends 6月21日～27日の間で「ios error 14」の検索数が急上昇（2018年8月4日 現在）

 

YouTube上では？

iTunes Error 14 and Data Recovery—Let Apple Hear You!
Error 14 and You need data from your iPhone? You are not alone. Here’s what to do: Put your phone in a drawer and wait for a solution.

 

 

私たちはこの問題を社会問題と捉え、Apple社にユーザのご意見を届ける活動を行ってまいります。

最後に

今回、我々は組織・団体と言う垣根を越えて技術情報を交換しはじめました。現場でご依頼・ご相談を頂くお客様の嘆きの声を聞く中、何らか解決する方法がないか模索しているのが実情です。微力ではございますが、このページを利用して経過などを引き続き公開していく所存です。この障害によって失われかけている思い出の写真や動画のデータが、皆様のお手元に戻って来る事を我々技術者達は望んでいます。

情報を呼びかけている団体について
データサルベージ（株式会社ブレイバー）

データサルベージは、株式会社ブレイバーが提供するデータ復旧サービス事業で、2002年に事業開始。
近年は「デジタル遺品サービス」についても、業界に先駆けて社会に提唱している。

 

スマートフォン研究所（株式会社DIGITALCOOK）

iPhoneからAndroidまで、あらゆるスマートフォン、携帯電話、ApplePCなどのハードウェア修理とデータ復旧、および研究する企業。

 

小龍茶館（香港小龍科技有限公司）

Apple社の最新動向・次世代デバイスの噂・裏情報を公開。iPhoneのSIMロック解除（SIMアンロック）方法などの紹介やサービスを提供。

 

※ SNS（Twitter,FaceBook etc..）などで当情報を公開頂ける際は、ハッシュタグ #STOPリンゴループ を付けて頂けると助かります。

最終更新日：2020/8/6